露を吐く

好きか嫌いかで言ったら

生きるのが下手くそな俺達へ

少し前の話でちょっとなんとも言えない気分になった話なんだけど、イベントのステージ設営のバイトが早く終わったからチラシを組んでいくバイトの組を手伝うことになったの。

 

>テーブルに種類ごとに順番に重ねてある山から一枚ずつ取ってセットを作って互い違いに重ねていく、それを列になってテーブルの周りをグルグルグルグル回っていくんだけど隣のテーブルにやけにセットを組むのが遅い女性がいたんだよね。
あまりにも遅過ぎるからよく観察したんだけど、どうやらチラシを取る時に一枚ずつ上手く取れないらしくてすぐに止まって取ったチラシが正しい枚数なのかどうかを毎回のように数えてたんだ。
周りの人にはこのグループは人が多いから、なんて言って隣の、ちょっと遅い人がいる方のグループに移ったんだ。
隣のグループに移ってその人を更に見ていると、遅いせいで次がつかえるからその後ろにいる人達がどんどん先に追い抜かしていた。
追い抜かれる焦りでテンパッて更に作業が遅くなってしまうその女性、僕は見ていられず思わず「こうすると早くできますよ」なんてことを伝えたりしてみた。
その時に気付いたんだ、その人の腕に。
 
かなりの数の切り傷の痕があることに。
 
彼女が抱えている問題は僕にはどうにかするということはできないだろう。
でも、少しぐらい、今この場ぐらいだったら何かできることがあるんじゃないかと考えた。
 
人にはそれぞれ自分のペースというものがある。
 
チラシを組んでいくアルバイトは2つのグループに分かれていて、チラシをぐるぐる回りながら組んで積み上げていくグループと組み上げられたチラシを袋詰めする人たちがいる。
 
その場の管理をしている人たちに組み上げていく量が早すぎて置いておくスペースがないから何人か袋詰にまわってもいいですかなんて聞いてその女性に「詰める人たちが足りてないそうなんで一緒に行きませんか?」なんて言って袋詰のグループに誘った。
 
しばらく一緒に袋詰をしていて気付いたことがあった。
組み上げられたチラシが時折同じ種類のダブって入っていることがかなりの頻度であったのだ。
彼女はそういったことが多発していることを知っていたから手にとったチラシの枚数が正しいか執拗に確認していたから遅くなってしまっていたのではないかと。
 
世間というものはどうもぱっと見で物事を判断してしまいがちなのではないかと思った。
口のうまくない人たちはどうも勘違いされて疎まれてしまう。
 
生きるのが下手くそな人たちに優しい世の中になってほしいものだなと思った。